「安かろう悪かろう」これが患者さんが望む道だったのかな・・・?

先日のある患者さんの話です。
小臼歯(前歯と奥歯の間にある小さめの歯)の、他の歯医者で保険でしてもらったという白いかぶせが取れたと来院されました。
残念な事に、かぶせの中の歯自体がボロボロでまともに修繕できそうにありません。
この保険でできるプラスチックの白い歯、「安かろう悪かろう」の代表のような経過をたどる事が多いです。
詳細は避けますが、大量に削って、保険の費用の中で治療しなくてはいけませんから、「そこそこの適当な」接着をするようになります。その結果、歯とかぶせに隙間ができて、その隙間から虫歯菌が侵入して、かぶせの中のかけがえの無い歯をボロボロにしてしまっています。特に雑に治療と接着をされた場合には・・・。保険で丁寧にやってたら大赤字なのは解るけど・・・。歯科医師ですから、数年で歯を抜くようになるような事をしたくはないですね。
「この歯は抜くようになります。」と説明すると、この患者さんはとても辛そうでした。「矯正と、MTAセメントや歯周外科手術、それにセラミックのかぶせなど、保険外の治療技術を総動員すれば、残すことができますが、お金と時間がかかります。」とも説明しました。
この患者さんは「詳しく説明が聞きたい」と次のコンサルテーションのアポイントを取って帰られましたよ。
前の歯医者さんが最初からこの「そこそこ(実はそこそこでもないんですけど)の治療」ではなく「ちゃんとした治療」をご提案してあげていたら、矯正や手術などをスキップできて歯も長持ちしたのに。
前の先生、患者さんの歯の健康に対する考え方を聞いてあげる事が欠けていたのかもしれませんね。
誤解のないように書いておきますが、保険だから悪いというよりは、ちゃんとした仕事には良い材料と手間をかける時間が必要だという事です。
時には「この場合は、保険では、まともな事は無理」という事になるのです。