播磨・宍粟・揖保川に新たな想いを抱く

宍粟市・山崎町は私の生まれ故郷ではある訳ですが、「こんな田舎に生まれてさえこなかったら、どんなに楽な人生だっただろう」という思いがあって、どうしても好きになれない場所でした。

ところが昨日、宍粟市が「日本酒発祥の地」であるという事を知って、宍粟とお酒の起源等について興味が湧いてきました。

それで、少し調べてみましたので解説してみますね。

まず、お酒には口嚼ノ酒(くちかみのさけ)とカビ(麹)の酒の2種類があるようです。

口嚼ノ酒は読んで字の如く、お米を口で良く噛んで、お米とツバを混ぜ、それを吐き出して適切な温度で発酵させてアルコールを作る方法です。
ツバの中には澱粉分解酵素であるアミラーゼやジアスターゼが豊富に含まれています。それを利用してお米を分解した後に空気中の野生酵母で発酵させる、非常に原始的でチャレンジングな醸造法なのです。
太古には少女の唾液が好んで使われたという記録があるようですが、歯科医師の視点から見ると、若年者は唾液量が多く(=分解酵素を効率良く使える)、歯周病菌に感染している可能性が低いので、安全で良質な酒ができる可能性が高まると思われ、理にかなっている部分があると感じました。

カビ(麹)の酒の起源は播磨風土記に登場するそうです。(宍粟はこの播磨地方に在るのですから、発祥の地という主張もある程度納得です。)こちらはカビの糖化作用を利用した醸造法で、現代の日本酒の作り方はこっちがベースですね。日本では伝統的に特定の酒蔵や麹屋さんが良質の麹(=良質な発酵菌の Strain )を維持してくれていますので、安全で美味しいお酒が供給されるのです。改めて、日本って凄い国だと感心させれれます。

麹の酒造りには良い米と良い水源が大切で、播磨五川(はりまごせん)を持つ播磨地方はその条件に合致していたようです。我が家はそこに先祖代々のルーツがあるのですから、父親が大阪の池田を引き払って宍粟に帰り開業した気持ちが少しだけ理解できました。

播磨五川(はりまごせん)という川の中でも宍粟を通る揖保川は揖保乃糸等でも有名です。この清流の源泉がある一宮町に実家が所有する山があるそうで、「いつかそこに探検に行って、水源の近くに秘密基地を作りたい」と、夢が膨らみます。
播磨国の地図。今は明石・加古川・姫路以外はパッとしない地方になり下がりましたが、歴史的には風水明媚な素晴らしい地域であった事がわかります。 (Map:by talk:弥)

コロナでモノ(物質)至上主義的な価値観が頓挫しています。地球環境も悪化しています。将来、海面上昇が起こると、今はすっかり寂れている山崎町や夢前町・福崎町などの中国縦貫道路沿いの地域の良さが再び見直されるかも知れません。もちろん三田市もね。